くらしの中の電波

総務省「生体電磁環境に関する検討会」の見解

総務省

総務省は2008年から「生体電磁環境に関する検討会」を開催し、電波の人体や医療機器への安全性について、国内外の研究成果の評価分析等を行い、2015年7月1日に現時点での見解を第一次報告書※1に取りまとめ公表しました。本報告では「現在の知見からは、電波防護指針を適用することで、電波の安全な利用が担保されるものと認識する」と見解を述べており、改めて電波防護指針の妥当性が評価されています。報告要旨については、次のとおりです。
※1 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000095.html

1. 電波の人体への影響についての見解

(1) 長期的影響※2の可能性についてのリスク評価

1) 電波の熱作用・刺激作用による健康影響については、これまでの研究で閾値等が明らかになっている。また、これらの作用には蓄積効果がないことも判明しているため、閾値よりも低レベルの電波に長時間ばく露された場合でも、それらの作用による健康影響はない。そのため、閾値に安全率を付加して定められた電波防護指針の指針値を満足している場合は、熱作用・刺激作用による人体への影響は完全に防止されている。

2) 長期的影響の可能性に関する現時点のリスク評価について、これまでの国内外の研究機関等による長期間の研究によっても、その存在を示す確かな科学的証拠は発見されていないものと認識することが妥当であると判断する。

3) 中間周波数帯や超高周波数帯(ミリ波帯、テラヘルツ帯等)については、引き続き研究が推進され、リスク評価を行うことが望まれる。

4) これらの考え方は、WHO等の国際機関の見解とも一致するものと認識する。

※2 長期的影響:熱作用・刺激作用以外の作用による健康影響

 

(2)「用心のための取組」の電磁界ばく露への適用

1)日本では、平成19年に公表された「生体電磁環境研究推進委員会」の報告書において、WHOの見解と同様に、現状の電波防護指針は予防的措置として十分妥当であると評価している。

2)本検討会としては、電波ばく露に関するリスク管理においては、現時点で、「用心のための原則」を適用すべき状況ではないと判断する。

 

(3)電磁過敏症

1)RF電磁界ばく露により何らかの愁訴が生じるとされる、いわゆる「電磁過敏症」についても、これまで多くの研究が進められてきた。それらの結果においては、RF電磁界ばく露がこれらの症状の原因ではないという結論が示されている。

2)本検討会は、いわゆる「電磁過敏症」等の症状と電波ばく露の因果関係について、確かな科学的証拠は現時点で発見されておらず、電波の健康リスク管理において考慮すべき状況にないと判断する。

 

(4)電波防護指針の妥当性に関する評価(リスク管理の在り方)

1)熱作用・刺激作用以外による健康影響は、依然としてその存在を示す確かな科学的証拠は見つかっておらず、「用心のための原則」も適用しないことが妥当と判断される。

2)現在の知見からは、電波防護指針を適用することで、電波の安全な利用が担保されるものと本検討会は認識する。

2. 電波の植込み型医療機器への影響についての見解

○総務省指針について

1)総務省は平成12年以降、継続的に各種電波利用機器からの電波の影響に関する調査を実施し、平成17年に「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」を発表した。

2)平成24年7月の第二世代携帯電話サービス終了を受け、平成25年1月、携帯電話端末と植込み型医療機器の推奨離隔距離を22cmから15cmに見直す等の改正が行われた。検討において、携帯電話端末の送信出力低下に伴い、実測における最大干渉距離が3cmにまで短縮していることが確認された。
(電波発射源の出力や植込み型医療機器の感度等は、影響の出やすい最悪条件に設定して、影響評価試験を行っている。)

3)一方、植込み型医療機器の国際規格では15cm離れた携帯電話からの電波に相当する電波の照射下で正常な動作を確認することが規格適合の条件とされている。そのため、国際規格等との調和も考慮し、国内外で一元的な離隔距離となる15cmとすることが適当と結論づけられた。