調査研究レポート

【1999-5】携帯電話からの高周波ばく露に関する細胞生物学的影響調査

研究目的

携帯電話からの電波が生体に与える影響を、細胞実験により検討しました。

具体的には(1)携帯電話機使用時と同程度の局所ばく露を細胞レベルで非熱的に実現するための高周波ばく露装置を開発し、その装置を用いて(2)遺伝子発現、細胞分化、遺伝子突然変異およびシグナル伝達などに関する高周波ばく露の影響を評価しました。

研究内容

本研究における細胞実験に適したばく露装置として円形導波管に4つのループアンテナを組み込み、導波管内においたシャーレに2.45GHzの高周波電磁界をばく露する装置を開発しました。

このばく露装置を用いて平均SAR値が20、50、100W/kgの条件において、細胞増殖率、遺伝子突然変異頻度、DNA鎖切断の分析を行いました。

研究結果

本研究では携帯電話によって生じる局所SARと比較して、非常に大きなSARの条件下で細胞増殖率、DNA鎖切断、遺伝子突然変異誘導について検討した結果、平均SARが50W/kg以下においては有意な影響が観察されませんでした。

この結果から,携帯電話によって生じるレベルでの高周波電磁界が細胞の生存や遺伝子への影響を及ぼす可能性は非常に小さいことがわかりました。

本研究から派生した論文

Tian F, Nakahara T, Wake K, Taki M, Miyakoshi J. Exposure to 2.45 GHz electromagnetic fields induces hsp70 at a high SAR of more than 20 W/kg but not at 5W/kg in human glioma MO54 cells. Int J Radiat Biol. 2002 May;78(5):433-40. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12020433


Koyama S, Nakahara T, Wake K, Taki M, Isozumi Y, Miyakoshi J. Effects of high frequency electromagnetic fields on micronucleus formation in CHO-K1 cells. Mutat Res. 2003 Nov 10;541(1-2):81-9. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14568297