調査研究レポート

【2008-2】REFLEXプロジェクト実験の再現実験についての研究

研究目的

ヨーロッパのREFLEXプロジェクトにおいて電波防護基準以下の電波のばく露による人体への影響について、細胞レベルの実験による研究が実施され、第2世代携帯電話方式のGSM方式(周波数:1,800 MHz帯)の電波のばく露により細胞レベルの遺伝毒性が増加すること、またREFLEXプロジェクトに参加した一機関により第3世代携帯電話方式のUMTS方式(W-CDMA方式、周波数:1,950 MHz帯)の電波ばく露によりヒト由来皮膚細胞の遺伝毒性が増加することが報告されています。しかしこの結果は世界各国の研究機関等から研究結果に疑問が提示されるなど信憑性に疑義がもたれています。

そこで本研究ではREFLEXプロジェクトで使用されたものと同様の電波ばく露装置を用いてUMTS方式の電波により小核形成、DNA鎖切断の遺伝毒性の再現実験を実施し、REFLEXプロジェクトの結果を検討しました。

研究方法

細胞内の遺伝子の損傷が修復されない場合に、小核形成が見られます。REFLEXプロジェクトでは、電波のばく露による細胞の遺伝毒性を調べるため、この小核形成を指標として用いました。そこで本研究においてもREFLEXプロジェクトと同様に電波のばく露による小核形成の有無を検討しました。細胞はヒト白血病由来細胞であるHL-60を用い、1,950 MHz帯のUMTS方式の電波をばく露しました。ばく露の条件としては(1)SARをパラメータとしSAR=0.2~3.0 W/Kgで変化させ、24時間ばく露した場合の小核形成の頻度および、(2)ばく露時間をパラメータとしSAR = 1.3 W/KgのUMTS方式の電波を6、24、72時間ばく露した場合の小核形成の頻度を調べました。

研究結果

1,950 MHz帯のUMTS方式の電波による(1)24時間ばく露(SAR = 0.2~3.0 W/Kg)および(2) SAR = 1.3 W/kgのUMTS方式の電波を6、24、72時間ばく露による小核形成頻度について有意な増加は認められませんでした。今回の実験は電波の方式、周波数がREFLEXプロジェクトとは異なりますが、それ以外の実験条件は同一であり、REFLEXプロジェクトで報告された結果は再現されませんでした。

本研究から派生した論文

Miyakoshi J, Narita E, Sakurai T. Effects of exposure to radiofrequency fields (UMTS/IMT-2000; 1950 MHz) on DNA strand breaks and micronucleus formation in cultured cells. The Bioelectromagnetics Society 32nd Annual Meeting. 2010.http://www.bioelectromagnetics.org/bems2010/supp_data/P-B-124.pdf