調査研究レポート

【2010-1】携帯電話使用と頭痛との関連性についての研究

研究目的

携帯電話を長時間使用することによって、頭痛が生じるとの研究結果が発表されています。頭痛の発生メカニズムは不明な点が多いものの、頭痛の中で最も多いとされる筋緊張性頭痛では、その原因が肩や首の筋の硬さと関連することが知られています。そこで本研究では、携帯電話の長時間利用による肩の筋の硬さの変化と、それによる肩及び頭部の違和感との相関の有無を、実験的に検討しました。さらに筋の硬さに変化が生じた場合、その変化が携帯電話から発せられる電波によるものかどうかを検討するため、携帯電話の電波ばく露と非ばく露とで筋の硬さに変化が生じるかについても実験的に検討しました。

研究方法

実験は、健康な男性15名(35.6±10.0歳)及び女性16名(33.6±9.6歳)を対象に、シールドルーム内で実施しました。シールド外にある制御用PCからばく露制御装置を介して、シールド内の携帯電話(2GHzデジタル)のオン・オフを制御しました。実験参加者には、安楽な椅子に座り、携帯電話を普段使う時の構えで30分間保持して頂きました。30分間の携帯電話保持の前後に、携帯電話を保持する側と保持しない側の首から肩にかけて、筋硬度計を用いて筋の硬さを計測しました。筋肉痛や頭痛を含む肩及び頭部の違和感は、視覚的評価方法(VAS)を用いて分析しました。実験参加者には、電波のオン・オフは一切伝えませんでした。電波ばく露条件と非ばく露条件は1週間以上の間隔を開け、両者の順番は実験参加者ごとにランダムに行いました。

研究結果

携帯電話を30分間保持することにより、肩の筋の硬さが増加しましたが、電波ばく露条件でも非ばく露条件でも同様でした。携帯電話を保持しない側の筋肉でも同じ結果が見られ、肩周りの筋全体が硬くなることが示されました。また、肩及び頭部の違和感も、電波ばく露条件でも非ばく露条件でも同様に増加しました。この結果、携帯電話を長時間保持することにより、携帯電話から発せられる電波とは無関係に、両肩の筋の緊張が増加するとともに、肩及び頭部の違和感も増加することが明らかになりました。この筋の緊張の増加は、携帯電話からの電波ばく露の影響ではなく、携帯電話の長時間使用による一定の姿勢保持が原因となると結論付けられました。