調査研究レポート

【2013-1】携帯電話由来の電波が精子に与える影響についての研究

研究目的

従来、ライフスタイルに関連した精巣機能障害が指摘されています。その主要な要因として、精巣温度上昇をきたす生活スタイル(高温環境下での仕事、座業など)、喫煙、環境中に存在する毒物や内分泌攪乱物質、電離放射線などが考えられていました。昨今、新しい誘因として、携帯電話の影響が指摘されるようになっています。そこで本研究では、日本国内で使用されている携帯電話が発する電磁波と同一強度の電磁波が、ヒトの精子にどのような影響を与えるのかを調べ、その安全性を検討することを目的としました。

研究方法

正常男性の射出精子について、携帯電話で使用されるW-CDMAシステム類似の電磁波を用い、実ばく露(実際にばく露した場合)と偽ばく露(ばく露しない場合)による照射をおこない、精子の運動状態および酸化ストレスマーカー(8-hydroxy-2'- deoxyguanosine, 8-OHDG:活性酸素種によりdeoxyribonucleic acid, DNAが損傷された際に生じる物質)について、ばく露条件による両者に違いがあるか否かを調べました。測定回数は、ばく露前、ばく露終了直後、ばく露1時間後、ばく露3時間後、ばく露6時間後、ばく露9時間後、ばく露12時間後の合計7回(8-OHDGは、ばくろ前および終了直後の2回)です。

研究結果

いずれの測定項目についても、実ばく露と偽ばく露とで有意差は認められませんでした。過去にW-CDMA類似のシステムを用いた同様の実験研究はなく、W-CDMAシステム類似の電磁波は精子に有意な影響を与えませんでした。