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「電波」と「電磁波」のちがい
電磁波とは電界と磁界が互いに影響し合いながら空間を光と同じ速さで伝わっていく波のことをいいます。
電界
電気にはプラスとマイナスの極性があります。異なる極性のものは引き合い、同じ極性のものは反発します。このような電気の力が働いている場所を電界といいます。
磁界
磁石にはN極とS極があり、異なる極のものは引き合い、同じ極のものは反発します。このように、磁気の力が働く場所を磁界といいます。
電磁波の伝わり方
電磁波は水面に生じる波のような性質をもっています。池に物を投げ入れると波紋が広がります。投げ入れた瞬間に、図1のAの波ができます。その1秒後には、波が図2のBの位置まで進みます。電磁波も同じように空間を進んでいきます。
電磁波の周波数の単位はHz(ヘルツ)
電磁波は、波が連続して発生しているもので、連続する次の波が来るまでに進む距離を「波長」、1秒間に波打つ回数が何回あるかを「周波数」と言い、単位をHz(ヘルツ)で表します。
たとえば、1秒間に10回、波が繰り返されれば10Hzになります。
1000Hz (ヘルツ) =1kHz(キロヘルツ)
1000kHz(キロヘルツ)=1MHz(メガヘルツ)
1000MHz(メガヘルツ)=1GHz(ギガヘルツ)
1000GHz(ギガヘルツ)=1THz
周波数によって異なる、電磁波の性質
電磁波は周波数によって、性質が大きく異なります。暖房器具が発する赤外線は物をよく温める性質があります。
可視光は人の目で見える電磁波で、周波数の低い方の赤から高い方は藍まで、色の違いとして認識されます。
紫外線には殺菌作用や日焼けを起こす作用がありますし、X線は物を透過する性質がありX線撮影などに用いられています。
自然界における電磁波の発生源としてよく知られているのは太陽です。太陽から発せられた電磁波のうち1GHzから10GHzあたりの電波と、300THzから1000THzあたりの可視光線は、大気や電離層※を通り抜けて地表に強く照射されています。晴天時の可視光線の強さは、約100mW/cm2とされています。
※高度約80kmから500kmの間に存在する、地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子が電離(物質が解離してイオンが生ずること)した領域。電波を反射する性質があり、遠距離通信に使われる場合がある。
電波と放射線
電磁波は、大きく「電離放射線」と「非電離放射線」の2種類に分けられます。
紫外線の一部やX線とγ線などの周波数がおおよそ3000THz 以上の電磁波は、エネルギーがとても大きく原子や分子に直接作用することができ、原子の中から電子を弾き飛ばす電離(イオン化)作用を引き起こします。このため、電離放射線とも呼ばれています。電離した原子によって遺伝子が傷つけられることが分かっており、この遺伝子損傷によって細胞ががん化する場合があると考えられています。
一方、電波は3THz以下と周波数が低く、原子の中から電子を弾き飛ばすエネルギーを持たないため、X線とγ線のような電離作用を引き起こすことはありません。このため、電波を含む3000THz以下の電磁波は非電離放射線とも呼ばれています。
超低周波電磁界とは
商用周波数(50/60Hz)の電磁波は超低周波(ELF:Extremely Low Frequency)電磁界とも呼ばれています。
超低周波(ELF)電磁界の波長は6,000km/5,000kmと地球の半径ほどの長さなので、例えば送電線の近くでも電波などとは異なり波の性質が非常に小さくなります。このため超低周波(ELF)電磁界の電界、磁界の領域については、電波とは別の安全基準が制定されています。