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【2005-1-1】1,950MHzの携帯電話電波へのばく露がヒトの局所脳血流量に及ぼす影響についての研究
目的
以前の研究(フーバー他、2002;ハーララ他、2003;フーバー他、2005;アールト他、2006)では、第2世代TDMA方式の900MHz GSM携帯電話電波へのばく露の最中またはばく露後に、脳の特定の部位において局所脳血流量(rCBF)が増加または減少するという一貫性のない結果が示されていることから、本研究では、第3世代W-CDMA方式の1,950MHz携帯電話電波へのばく露が、rCBFに影響を及ぼすかどうかを、陽電子放射断層撮影(PET)を用いて調べることを目的としました。
方法
健康な男性ボランティア被験者9人を対象に、1,950MHz W-CDMA携帯電話電波(組織10g当たり平均の空間ピーク比吸収率(SAR)2.02±0.40W/kg、ピークSAR4.4W/kg)への30分間のばく露または偽ばく露の前後及び最中に2回ずつ、10分間隔でPET画像を撮影し、rCBFへの影響を調べました。実験デザインは、ばく露の真偽を被験者に知らせない単盲検法としました。携帯電話機からの熱やノイズ等によって被験者にばく露の真偽がわかってしまうことを避けるため、携帯電話機の代わりに外部電源に接続したパッチアンテナを右側頭部に固定して電波を放射しました。各被験者は、先に行った実験による何らかの影響が残ることを避けるため、最低1週間をおいてばく露と偽ばく露の両方の実験を受けました。
結果
ばく露前と比較して、W-CDMA携帯電話電波へのばく露の最中及びばく露後に、rCBFの有意な変化は認められませんでした。
結論
本実験条件では、W-CDMA携帯電話電波への30分間のばく露は、ヒトのrCBFに有意な変化を生じないことが示されました。脳の特定の部位におけるrCBFの増加または減少が見られた以前の研究結果との不一致は、周波数900MHz のGSM携帯電話電波と比較して、周波数1,950MHz のW-CDMA携帯電話電波は、脳への浸透が浅く、ばく露される領域が狭いためと考えられます。
出典
Mizuno Y, Moriguchi Y, Hikage T, Terao Y, Ohnishi T, Nojima T, Ugawa Y. Effects of W-CDMA
1950 MHz EMF emitted by mobile phones on regional cerebral blood flow in humans.
Bioelectromagnetics. 2009 May 27. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19475648