調査研究レポート

【2006-1】閉空間における電波強度についての研究(測定結果のEMCJ発表)

研究目的

携帯電話からの電波が医療機器、特に心臓ペースメーカに及ぼす影響については、不要電波問題対策協議会(現、電波環境協議会)が中心となり、実験調査に基づき、携帯電話を使用する際には心臓ペースメーカ本体装着部位から22cm離して利用する旨のガイドラインが1996年に出されています。

その後の総務省の調査においてもこのガイドラインが妥当であることが確認され、2005年の総務省指針にも同じガイドラインが採用されています。しかしながら、電車内などに代表されるような金属壁で覆われた閉空間内においては、壁からの反射などの影響が無視できないとして、ガイドラインに対する懸念の声があります。 本研究では2004年度に実施した電車での検討に引き続き、エレベータなどの閉空間における携帯電話による電波環境について評価しました。

研究内容

検討は計算機シミュレーションによる検討を基本にし、この計算機シミュレーションの妥当性について、模擬エレベータを製作して検討を行いました。

まず、エレベータ内の電波伝搬について実験用と計算機シミュレーション用の基本モデルを構築し、実測により得られた電磁界分布と計算機シミュレーションにより得られた電磁界分布を比較し、計算機シミュレーションで用いるモデルの妥当性について検討を行いました。

その後、計算モデルを用いて人体の存在、複数の携帯電話使用などの実際的で複雑なモデルについて電磁界分布推定を行いました。

研究結果

本検討により、金属壁からの反射があるようなエレベータ内での複雑な電磁界分布の評価において、計算機シミュレーションが有効であることを確認しました。 またその結果から、不要電波問題対策協議会ならびに総務省の指針を守ればエレベータのような閉空間内でも携帯電話を安心して使用できることを確認しました。

本研究から派生した論文

野島俊雄: 電車内での携帯電話電波による心臓ペースメーカへの影響. 電磁環境工学 情報EMC 222:57-68, 2006.